多摩美トクサツ研究会(風刃ウルカ)
『学生特撮サークル&キャラクター図鑑』 第4回は多摩美トクサツ研究会さんに伺い、インタビュー取材をさせていただきました!
風刃ウルカ
人類の更なる進化を企み市民の生活を脅かす宗教団体『リベレイト』と戦うクールな青年、東雲ジンが変身する戦士だ。リベレイトに両親を殺害された彼は、復讐のために怪人たちと戦っている。
手の甲と額には六角形のエナジーコアを、頭には天狗の眉を模した鋭利な角を持っているのが特徴だ。
武器は使わずに、徒手空拳で戦うぞ!必殺技は「山神楽」と呼ばれる光線を放ち、怪人を(文字通り)燃やし尽くす!
リベレイトが街に送り込む12人の幹部怪人らと戦いながら、両親の仇の手がかりを仲間たちと追い続けているぞ。
多摩美トクサツ研究会
【活動拠点】
多摩美術大学 八王子キャンパス(東京都八王子市)
【活動内容】
自主映画作品のDVDやタンブラーなどのオリジナルグッズの製作、多摩美祭での公開に向けた映像製作など。
―『風刃ウルカ』製作にあたっての裏話を教えてください。
ストーリー面での主なイメージソースは『平成仮面ライダーシリーズ』の1期からきています。造形面ではウルカを天狗モチーフにしたり、敵を十二支モチーフにしたりなど、和や日本風のイメージを強調して作っていますね。
額のエナジーコア(六角形の立体)にエネルギーを集中させたり、天狗の眉を模したウイングで切断技をメインにしてイノシシ怪人の牙をへし折ったり……という設定も当初は考えていました。
―造形面で工夫した点や苦労した点について教えてください。
まずウルカの着ぐるみは実は3つ存在しています。まだFRP(繊維強化プラスチック)等が技術的に使えないときにウレタンだけで作ったマスクや、100円ショップで売られているような市販商品を組み合わせて作ったものがありました。
今のマスクやスーツは彫刻科でのFRP講習の授業や『ヒーロースーツの作り方』という本を参考にして作りました。
最初はすごく難しくて、苦戦しましたね。「ベロを出す」(マスクの内側にそれぞれ継ぎ目の形を作っておくこと)みたいな技術を知らなかったり、人数も少なかったり。
部室も無いので、教室に1度荷物を全部持ってきて、彫刻棟の作業場を行ったり来たりしながらどこも汚さないように気を遣いながら作りましたね。場所もかなり取るので大変でした。イノシシの敵怪人を作っていたときは大きさも色もかなり目立つので、じろじろ見られたりすることが結構多かったです。
―映像についてはどのように制作していたのでしょうか?
撮影は去年の夏ごろに行って、映像編集は11月の秋の芸祭当日までやっていました(笑)。
映像をお客さんに持ち帰ってもらえるようDVDの販売も行っていたので、フリーの音源を使ったり探したりしたのですがちょうど良いものが見つからず……。完全に試行錯誤でゼロから作りましたね。自分たちで台所のものを振り回しながら音を制作しました。例えば、フライ返しや縄跳びで「シャキーン!」という音を録ったり、ティッシュの空の箱を床に叩きつけて落下音を作ったり。ほかにも床を殴ったり、シンクを殴ったり、みかんを潰したり。ちなみに怪人の台詞も部員複数人の声を同時に再生して作っています。
自宅を貸していただいた一人暮らしの部員にはとても迷惑をかけてしまいましたね。
時系列的には着ぐるみ造形と映像製作は同時進行で作っていました。
―美術大学ならではの、スペシャリストが各々集まってきたという形なのでしょうか?
FRPが技術的に使えるようになったのが2年前の部員が入ってきたころなんですね。彫刻科の人がたくさん入ってきたので、妄想から造形に出来ると。その1年後にメディア芸術学科の人たちが入ってきて、映像も出来るねと。
実は3年前まで、特撮研自体はほとんど幽霊部活だったんですよ。何も動いていなくて。そういうわけで過去作もほとんど無くて、しっかりと造形面でもこだわった作品はウルカが最初です。
このままだと造形を専門にしている科の後輩が入ってこないと続けられないので、各学科の学生が他分野にも関わったりするようにしたいですね。造形の人も映像をやって、映像の人が造形の技術も持つとか、そういうのが必要になってきていますね。
―『ウルカ』以外の作品について教えて下さい。
今年から新しく制度を作って、個人監督企画というものをやろうと思っています。もう既に1回やったんですけれども。
せっかくみんな面白いことを考えているのにそれが出来ないのはもったいないと思って、怪獣モノでもヒーローものでも何でもいいからやりたいことを全部言える場を作りました。
自分たちのやりたいと思っていることでコンペをして、10分程度の短編として作品を撮らせてあげようと。1年生の作品でも面白ければ採用します。
今年の芸術祭でも短編集としていくつかの作品をお見せする予定です。
それと同時進行で、メンバー全員で作ったものも1作品用意する予定です。
この部活は週3日で活動していて、火曜日に個人監督の企画を進めて、木曜日に全員で作るものをやって、土曜日に造形や映像の講習会を開いたりしています。今後はアクションなんかの講習も考えています。
それぞれのやりたいことを叶えるために、1人1人がオールマイティになるということを目指していますね。『ウルカ』を制作した代が卒業するまでに、多くの作品を作りたいなという思いもあります。
―美大ならではの良いところはありますでしょうか?
授業で直に活動に関わることを学べたり、材料や機材の名前・使い方を知れるだけでも役に立ちますね。「こういうことをやりたいんです!」ということを教員に相談したら「ここはこういう風にやるんだよ」と助けてくれたりもします。教員の方も助手さんも優しいです。
―今後の目標等についてはどんなことを考えていますか?
今後はできたら色々な人に見て欲しいので、公募展に応募したりしたいです。今の『ウルカ』もYouTubeでの公開をしたり、『コミティア』というイベントでDVDを販売したりしました。出来たら他大学の方とお互いに芸祭に呼んだりもしたいですね。団体としての目標としては有名になりたいです。上昇志向で。ほかにも販売前提でオリジナルのマスクコレクションの制作を試みたり、日々挑戦中ですね。
それと、非公認サークルなので大学からの活動補助が無いんですよ。なので、公認サークルも目指しています。もしかしたら今年公認をもらえるかもしれないですが。
―サークル員にはどんな人が多いのでしょうか?
まず、平成モスラ世代と自称するほど特撮映画がめちゃくちゃ好きで「大学に入ったら『DAICON FILM』みたいなことをするぞ!」と意気込んで入ったりした人がいますね。
「特撮が好きだけど高校時代話せる人がいなかったので」「地元のご当地ヒーローの『薩摩剣士隼人』から話が広がって」など、様々です。
今の代表は幼少期に特撮から卒業していたのですが、AKB48をきっかけに『仮面ライダーW』を見たら「あ、ただいま」という形で戻ってきました(笑)。高校時代には既に映画を自作したりしていましたね。
―最後に、読者の方にメッセージをお願いします!
多摩美の芸祭に来てほしいです。11月の4日・5日・6日にやっています。
『ウルカ』以外の短編も用意していますので、よろしくお願いします!
早稲田大学のヒーロー、エンジークワセダとウルカが夢の共演!同じく赤ベースの配色となっていますね。
ありがとうございます!
【多摩美トクサツ研究会 イベント・メディア情報】
・多摩美術大学 芸術祭(八王子キャンパス)
11月4日(金)~6日(日)の芸術祭では新作も含めた映画上映会を開催!
ウルカも遊びに来るぞ!
YouTubeではウルカの動画も公開中だ!